社会人の大学院・大学の学び直し|学費と使える支援
| 国立大学院の授業料 標準額(年) | 53万5,800円 |
|---|---|
| 私立大学院 修士課程の初年度総計(令和7年度平均) | 115万5,603円 |
| 授業料後払い 私立の上限(年額) | 77万6,000円 |
| 専門実践教育訓練の最大給付率 | 80% |
| 分類 | 働きながら取る |
| 所管 | 文科省・厚労省 |
| 最終確認日 | 2026/10/14 |
| 出典 | 22本 |
この記事の要約
社会人が大学院や大学で学び直すと、学費はいくらかかり、何が使えるのか。国立の標準額と私立の平均、教育訓練給付の対象になる課程、年齢上限のない貸与奨学金、授業料後払い制度まで、文科省と厚労省の資料で整理します。
本文
仕事を続けながら大学院で学ぶ、あるいは大学に入り直す。学び直しの選択肢として大学が気になっても、最初に引っかかるのはお金です。学費はいくらなのか、国の支援はあるのか、奨学金は社会人でも借りられるのか。この記事では、資格講座ではなく大学・大学院で学ぶ場合に絞って、学費の目安と使える制度を文部科学省・厚生労働省・日本学生支援機構の公表資料で確かめます(2026年10月14日確認)。
COST01学費の目安:国立は標準額、私立は平均で見る
国立大学の学費は、省令で国が標準額を決め、各大学がそれをもとに定めます。大学院の研究科の標準額は授業料が年53万5,800円、入学料が28万2,000円、検定料が3万円です。法科大学院は授業料が年80万4,000円です。各大学は特別の事情があれば標準額の120%を超えない範囲で額を定められるため、実際の学費は志望校の募集要項で確認してください。
私立は大学ごとに額が違うため、文部科学省の調査の平均で見ます。令和7年度入学者の初年度納付金(定員1人あたりの平均)は次のとおりです。
| 私立大学院 博士前期(修士)課程 | 授業料81万1,006円、入学料20万8,987円。施設設備費などを含む初年度の総計は115万5,603円 |
|---|---|
| 私立大学院 専門職学位課程 | 授業料105万9,878円、入学料20万8,724円。初年度の総計は142万257円 |
| 私立大学(学部) | 授業料96万8,069円、入学料24万365円。初年度の総計は150万7,647円 |
これとは別の選択肢として、放送大学があります。授業料が科目単位で、放送授業は1科目(2単位)1万2,000円です。大学の公式案内では、卒業に必要な124単位をとった場合の学費(入学料込み)は約77万円とされています。大学院の修士課程にも、科目単位で学べる修士選科生(入学料1万8,000円、授業料は1単位1万2,000円)があります。修士の学位を目指す修士全科生(2026年度以降の入学者)は、学位取得までの費用の目安が最短2年で53.4万円(臨床心理学プログラムは60.2万円)です。
KYUFU02教育訓練給付が使えるのは「指定された課程」だけ
大学院の学費に雇用保険の教育訓練給付を使えるかは、課程しだいです。大学・大学院系で専門実践教育訓練の対象になりうるのは、主に次の課程で、その中でも厚生労働大臣の指定を受けたものに限られます。
- 専門職大学院の専門職学位課程(訓練期間は原則2年以内)
- 職業実践力育成プログラム(BP):大学・大学院などの正規課程や履修証明プログラムのうち、社会人向けの実践的な内容として文部科学大臣が認定したもの
- 専門職大学・専門職短期大学・専門職学科の課程
専門実践教育訓練に指定された課程なら、受講中は経費の50%(年間上限40万円)、修了後1年以内に資格取得など(学位の取得を含む)をして就職するか、在職したまま資格取得などをすると70%(年間上限56万円)、さらに修了後の賃金が受講前より5%以上上がると80%(年間上限64万円)が支給されます。80%が適用される場合は、最大3年間で上限192万円です。仮に年間の経費が100万円なら、50%は50万円ですが、年間上限があるので受講中の支給は40万円になります。上限は年単位なので、2年の課程なら80%の場合も年間64万円の2年分が上限です。
BPは、在職者(正規・非正規を問わない)や求職者など社会人を主な対象とした制度です。正規課程のほか履修証明プログラムも認定の対象で、令和元年10月以降は60時間以上120時間未満の短時間のプログラムも認定されています。専門実践教育訓練の対象になるのは、このうち正規課程は1年以上2年以内、特別の課程は120時間以上かつ2年以内のものです。学位までは目指さず、特定の分野を短めの期間で学びたい人にも選択肢になります。
SCHOLARSHIP03奨学金:貸与型は年齢上限なし、給付型は原則対象外
日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金について、文部科学省のポータル「マナパス」は、審査に年齢上限を設けていないため社会人の学び直しにも活用できると説明しています。ただし学力基準と家計基準があり、大学院の家計基準は親ではなく、申込者本人と配偶者の住民税情報で判定されます。日本学生支援機構の目安では、本人が給与所得者で配偶者がいない場合、修士課程相当の年間の給与収入は第一種奨学金と授業料後払い制度が299万円、第二種奨学金が536万円までです。第一種は、基準額を超えていても採用される場合があるため、学校に確認するよう案内されています。入学後に申し込む「在学採用」は原則として毎年春と秋に募集があり、在学している学校の奨学金窓口に申し出ます。大学院には、進学前に申し込む予約採用もあります。
| 第一種(無利子)・修士相当 | 月額5万円または8万8,000円から選ぶ |
|---|---|
| 第一種(無利子)・博士相当 | 月額8万円または12万2,000円から選ぶ |
| 第二種(有利子)・大学院 | 月額5万円、8万円、10万円、13万円、15万円から選ぶ |
修士課程と専門職学位課程の人は、第一種奨学金の代わりに授業料後払い制度も選べます。在学中は授業料を納めず、修了後の所得に応じて日本学生支援機構に返していく無利子の仕組みです。授業料相当の支援は年額で国公立が最大53万5,800円、私立が最大77万6,000円で、生活費として月2万円か4万円を加えることもできます。申込資格や基準は第一種と同じで、第一種との併用はできません。ただし支援額は学校が指定した授業料の額で、上の年額が上限です。私立で授業料がこれを超える場合、差額は在学中に自分で納めます。また、機構と契約していない学校では授業料相当額が本人の口座に振り込まれます。返す額には保証料相当分が加わり、生活費の振込額は保証料を差し引いた額になります。
一方、返済のいらない給付奨学金(大学の修学支援新制度)は、高校などを初めて卒業した年度の翌年度末から大学に入るまでが2年を経過していないことなどが条件です。社会人になってから大学に入り直す場合は、原則として対象になりません。
WAYS04学び方の制度で負担を分ける
支援制度だけでなく、大学側の仕組みを使って負担を軽くする方法もあります。いずれも法令で大学が設けることができると定められた仕組みで、実施の有無や費用の扱いは大学ごとに違います。
- 長期履修制度:職業を持っているなどの事情がある学生が、修業年限を超えて計画的に履修して卒業・修了することを大学が認める仕組み(大学設置基準第30条の2、大学院にも準用)
- 科目等履修生:正規の学生でなくても、必要な科目だけを履修して単位を得られる
- 夜間や特定の時期の授業:大学院は、夜間など特定の時間・時期に授業や研究指導を行うことが認められており、専ら夜間に教育を行う課程も置ける
長期履修で在学期間を延ばした場合、学費の総額や年あたりの額がどうなるかは大学の規程で決まります。出願前に、学費の扱いを大学に確認しておくと計画が立てやすくなります。
LOAN05教育ローンと勤務先の支援
マナパスによると、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」は学び直す社会人が本人として申し込むことも可能で、令和5年度から融資の対象となる学校の修業年限が6か月から3か月に短縮されました。金利や融資額は時期によって変わるため、公庫の案内で確認してください。
会社を辞めずに学業に専念したい場合は、2025年10月に始まった教育訓練休暇給付金も選択肢になります。就業規則などに定められた勤務先の制度に基づいて連続30日以上の無給の休暇を取ること、休暇開始前に雇用保険に5年以上加入していたことなどが条件です。制度の違いはリスキリング支援と教育訓練給付の違いで整理しています。
ORDER06調べる順番
- 学びたい分野と、学位が要るのか(修士・専門職学位)、短期のプログラムで足りるのかを決める
- 文部科学省のポータル「マナパス」などで候補の課程を探し、専門実践教育訓練やBPの指定・認定を受けているか確かめる
- 教育訓練給付を使う場合は、自分の雇用保険の加入期間を確かめ、受講開始日から逆算してキャリアコンサルティングを予約する
- 学費の残りを、奨学金(貸与・授業料後払い)、教育ローン、勤務先の支援でどう埋めるかを決める
- 長期履修や科目等履修の可否と学費の扱いを、志望校に問い合わせる
FAQ07よくある質問
出典
- e-Gov法令検索「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」
- 文部科学省「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
- ハローワーク「専門実践教育訓練の教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金のご案内」(PDF)
- 文部科学省「大学等での学び直しを希望する社会人の皆様へ」(職業実践力育成プログラム)
- 文部科学省 マナパス「社会人の学びへの経済的支援」
- 日本学生支援機構「第一種奨学金の貸与月額(平成30年度以降入学者)」
- 文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」(PDF・2026年10月14日確認) ─ https://www.mext.go.jp/content/20251226-mxt_sigakujo-000046463_4.pdf
- ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」(2026年10月14日確認) ─ https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_education.html
- 日本学生支援機構「第二種奨学金の貸与月額」(2026年10月14日確認) ─ https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/taiyo_2shu/kingaku.html
- 日本学生支援機構「授業料後払い制度(大学院修士段階)」(2026年10月14日確認) ─ https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/atobarai/index.html
- 日本学生支援機構「授業料後払い制度の貸与額」(2026年10月14日確認) ─ https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/atobarai/taiyogaku.html
- 日本学生支援機構「進学後(在学採用)の給付奨学金の申込資格」(2026年10月14日確認) ─ https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/kyufu/shikaku/zaigaku.html
- e-Gov法令検索「大学設置基準」(2026年10月14日確認) ─ https://laws.e-gov.go.jp/law/331M50000080028
- e-Gov法令検索「大学院設置基準」(2026年10月14日確認) ─ https://laws.e-gov.go.jp/law/349M50000080028
- 放送大学「学費(授業料、入学料)|大学(教養学部教養学科)」(2026年10月14日確認) ─ https://www.ouj.ac.jp/admission/gakubu/tuition/
- 放送大学「学費(授業料、入学料)|大学院 修士課程」(2026年10月14日確認) ─ https://www.ouj.ac.jp/admission/gakuin/tuition/
- 文部科学省「短時間で編成される職業実践力育成プログラム(BP)の認定について」(2026年10月14日確認) ─ https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/bp/1416439.htm
- 日本学生支援機構「大学院で受ける第一種奨学金の家計基準」(2026年10月14日確認) ─ https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/taiyo_1shu/kakei/zaigaku/in.html
- 日本学生支援機構「申込手続きについて(在学採用)」(2026年10月14日確認) ─ https://www.jasso.go.jp/shogakukin/moshikomi/zaigaku/houhou.html
- 厚生労働省「教育訓練休暇給付金」(2026年10月14日確認) ─ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/kyukakyufukin.html
- 厚生労働省「令和7年10月から『教育訓練休暇給付金』が創設されます」(2026年10月14日確認) ─ https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/06.html
- 日本学生支援機構「2026年度奨学金案内ダイジェスト(大学院に在学している方へ)」(PDF・2026年10月14日確認) ─ https://www.jasso.go.jp/shogakukin/moshikomi/zaigaku/tebiki/__icsFiles/afieldfile/2026/03/09/digestin.pdf
確認状況
2026/10/14
編集部
制度・数字は改正等で変わります。最新の内容はリンク先の公式ページでご確認ください。


